現代の日本の住まいにおいてフローリングは掃除のしやすさや洋風家具との相性の良さから主流となりましたが、その一方で日本人が古来より遺伝子レベルで親しんできた畳の温もりや、床に近い生活の心地よさを懐かしむ声は絶えることがありません。フローリングの利便性を活かしつつ畳の情緒を取り入れる和モダンな空間作りは、単に異なる素材を並べることではなく、両者の長所をいかに融合させるかという設計の知恵が求められます。まず検討すべきは空間のゾーニングです。広いリビングの一角に畳のスペースを設ける場合、フローリングと同じ高さでフラットに仕上げるのか、あるいは一段高くして小上がりにするのかによって、部屋全体の印象と使い勝手は劇的に変わります。フラットな仕上げは空間を広く見せ、ロボット掃除機などの移動も妨げないバリアフリーな環境を実現しますが、一方で境界が曖昧になりがちなため、天井の照明を切り替えたり、畳の色味をフローリングの木目と意識的に合わせたりする工夫が必要です。一段高くする小上がり形式は、腰をかけるベンチのような役割を果たし、下部を大容量の収納スペースとして活用できるという実用的なメリットがあります。また、フローリングと畳の境界に設ける見切り材の素材や幅にもこだわることで、異素材の繋ぎ目が洗練されたデザインの一部へと昇華されます。畳自体の進化も目覚ましく、最近では伝統的な縁のあるタイプだけでなく、正方形で縁のない琉球畳風の製品が、洋風のフローリングと非常に良く馴染むとして人気を博しています。素材についても天然のい草だけでなく、和紙や樹脂を加工したものなど、耐久性や防汚性に優れた選択肢が増えており、現代の多忙なライフスタイルに合わせたメンテナンスのしやすさを確保することも可能です。フローリングの硬質な質感と、畳の柔らかな質感。この二つが共存する空間は、日中は椅子に座って作業をし、夜は畳の上で手足を伸ばして寛ぐという、動と静のメリハリがついた豊かな暮らしを支えてくれます。住まいの形が西洋化しても、私たちが床に座ったときに感じる安らぎは変わりません。フローリングと畳を賢く組み合わせることは、現代の合理性と伝統的な情緒を両立させる、最も日本らしい空間デザインの回答と言えるでしょう。
フローリングと畳を調和させて和モダンな空間を構築する手法