戸建てと違い、増築が不可能なマンションにおいて部屋を増やすためには、限られた専有面積の中での知恵と工夫が必要です。一般的には、広いリビングの一部を個室に変えたり、大きな一つの寝室を二つに分けたりする「間取り変更」が中心となります。ここでまず突き当たるのが、マンション特有の構造の制約です。マンションの構造には、柱と梁で支える「ラーメン構造」と、壁全体で支える「壁式構造」があります。ラーメン構造であれば部屋の中の壁はほとんどが取り除けるため、自由な位置に新しい壁を立てて部屋を増やすことができます。しかし、壁式構造の場合は、部屋の中に壊せない耐力壁が存在することが多く、思い通りの位置に仕切りを作れないことがあります。また、マンションリフォームで最も注意すべきは、管理規約の遵守です。床材の遮音性能や、換気口の新設、配管の移動など、厳しいルールが定められていることが多く、それらを無視して工事を進めることはできません。部屋を増やす際、その新しい部屋に窓がない「行灯部屋」になってしまう場合は、採光のために壁の上部にランマ窓を設けたり、透過性のある建具を使用したりする工夫が求められます。また、天井高に余裕があるマンションであれば、ベッドスペースを上部に設けた「ロフト家具」を作り、その下をデスクスペースにすることで、実質的に二つの機能を持つ空間に分けることも可能です。収納についても、既存の大きなクローゼットを解体して、そのスペースの一部をワークスペースとして取り込むといった「面積の再分配」も有効な手段です。マンションで部屋を増やすリフォームは、パズルを解くような緻密な設計が求められますが、プロの視点で無駄な廊下やデッドスペースを削ることで、床面積を変えずに部屋数を増やすことは十分に可能です。管理組合との良好な関係を保ちつつ、緻密な計画を立てることが、マンション生活の不満を解消する最善の策となります。