水回りのリフォームにおいて、チラシやインターネットの広告に掲載されている「設備代金プラス標準工事費」という価格だけを信じて予算を組むのは非常に危険です。特に戸建て住宅の場合、実際に工事が始まってから、見積書には記載されていなかった追加費用が発生することが珍しくありません。その正体の一つは、目に見えない配管の状態です。古い家屋では、現在の規格とは異なる古い配管が使われていたり、錆びて腐食が進んでいたりすることがあります。新しい設備を安全に使用するためには、これらの配管を壁の裏や床下まで遡って交換する必要があり、その移設や補修に数万円から十数万円の追加費用がかかることがあります。次に多いのが、構造部の補修費用です。タイル張りのお風呂からユニットバスへ変更する場合、解体した後に土台や柱が水漏れや湿気で腐食していることが判明することが多々あります。これを見逃して新しい設備を設置することはできないため、大工による補強工事が必要となります。また、電気容量の不足も盲点です。最新の浴室乾燥機やIHクッキングヒーター、多機能な温水洗浄便座を導入すると、家全体のアンペア数を上げる必要が生じたり、分電盤からの専用回路を新設する工事が必要になったりします。マンションリフォームであっても、床下の高さが足りずに配管の勾配をつけるための嵩上げ工事が必要になるなど、現地調査を行わなければ判明しない変動要因が多数存在します。これらの想定外の出費を抑えるためには、契約前の現地調査をどれだけ綿密に行うかが鍵となります。優秀な業者は、不測の事態を予測してあらかじめ見積書に予備費を含めたり、発生しうるリスクを事前に説明したりしてくれます。施主としては、提示された費用の安さだけに飛びつくのではなく、工事範囲に何が含まれており、何が含まれていないのかを徹底的に質問する姿勢が求められます。水回りのリフォーム費用を正しく把握することは、建物の隠れた病気を見つけ、健康な状態に戻すための診断料を含めて考えるべきです。万全の準備と予備費の確保こそが、トラブルを避けて納得のいくリフォームを完了させるための唯一の道と言えるでしょう。
水回り設備交換の際に見落としがちな追加費用の正体